なぜ私はノートでの指導にこだわるのか
私は、日本に住んでいる生徒さんには、必ずノートを使わせます。
それは、「テストでよい点がとれた?✨」という経験をさせたいから。
=自分を肯定できる経験をしてほしいから。
コロナの影響もあり、学校でのデジタル化は急速に進んでいます。
でも、現場の先生方のお話を聞いていても、
「完全ノート廃止」「紙のテスト廃止」までいっている日本の学校は
今のところほとんどありません。
となると、日本で暮らす日本語学習者たちは、学校生活において
‟字が読める”
だけではツラいのです。
‟書く”必要があるのです。
「テストで毎回悪い点数でも、生きていければよい。
どうせ、将来、手で日本語を書かなきゃいけないような仕事に就くことなんて、可能性低いし。」
というわけには、子どもはいきません。
だって、日々の生活の中でテストはつきもので、その度に毎回悪い点数だったら、
「自分は出来ないんだ」と自己肯定感を低めてしまうし、日本語に対する拒絶感も強くなりますから。
小学校教員の経験上、
漢字のテストは、日本語学習者がよい点数をとりやすいテストだと、私は思います。
他の筆記ものや思考力を問われるものに比べると。
漢字テストは、よっぽどの変化球がない限り、練習した通りの問題が出ますからね。
だから、せめて漢字テストだけでも頑張れるように、レッスンと宿題で地道に練習させています。
非漢字圏の子には拷問に近いかもしれませんが。笑
「学校のテストでよい点がとれた!」、
その経験は、
私が思っている以上に生徒さん家族にとって嬉しいことのようです。
小学校教員時代の某元教え子(アイルランド籍)は、
1年間の最後の日までず~~~っとクリアファイルに100点の漢字テストを入れて持ってきていました。笑
私は、様々な場所で、
「日本語教育を通して、どの子も自分の足で前向きに人生を歩めるように」
と発言していますが、
そもそも”前向きになれる”経験の積み重ねがなければ、前向きになんてなれません。
生徒さんが今いる環境をしっかりとらえ、
どういう経験がそのお子さんにとってプラスになるのか、
そしてそのために私たちは何ができるのか、
生徒さん家庭に寄り添いながら考えていくことを大事にしていきます。