南米出身小学4年生 Bちゃん

小学校教員時代の話。
2018年 ブラジルから帰国して、それまでと同じ小学校に復職しました。
ブラジルに行く直前は1年生の担任をしていたのですが、日本に戻った時にはその子たちも4年生の大きいお兄さんお姉さんになっていました。
この年はこの子たちの学年の担任にはならなかったのですが、大好きな学年だったので、特別な想いがありました。
中でも、南米出身のBちゃんのことは特別気に留めていました。
担任していた頃、Bちゃんは控えめな性格で前に出ようとはしないけども、いつでも一所懸命で、前に出る場面は少なくてもみんなと一緒に色々なことを頑張っていました。
何でも努力する姿は私が帰国後も変わらず、委員会など一緒になる場面で毎度感心していました。
そんな彼女がもっと輝く瞬間を作れたらいいな、と、担任ではない立場ながらに図々しく思っていた私は、あることを思いつきました。
『私が担当の回の運動朝会(※)で、彼女を「B先生」として主役にして、南米のダンスを全校で踊ろう?
彼女に計画を話すと、恥ずかしそうにしながらも放課後や休み時間に一緒の練習してくれることに。
当時の担任にことわりお父さんにも電話をして、ポルトガル語の原稿を読む練習を家で手伝ってもらいました。
なぜなら彼女は、ポルトガル語を話すことはできるけども、読めなかったから。
運動朝会当日。
全校で南米のダンスを踊ろう!ということで、彼女に歌詞や曲の説明をしてもらいました。
歌詞が振り付けとリンクしている曲だったので、彼女がポルトガル語歌詞を読み、運動委員が振りを紹介する形でダンスを紹介し、全校生徒で踊りました。
彼女のおかげでみんなで楽しく踊ることができました。
彼女は朝会の前も後も何も言わなかったけども、私は運動朝会の週の彼女を見ていて嬉しかったことがあります。
それは、金曜日の運動朝会当日までの5日間、月曜日から毎日 自国の国旗のTシャツを自ら着てきていたこと。
家族が準備したのか本人が着たいと言ったのか分からないけども、自分からそれを着てきたことが、彼女は自分がその国のルーツをもっていることを誇りに思っているのかなと嬉しく感じました。
彼女は幼稚園の時に日本に来たので、自国での思い出はたくさんあるわけではありません。
また、前述の通り、母語は話せても、読み書きはできません。
でも、彼女の心の中に自分の国がきちんと在る、ということが大事だと感じます。
そして、その思いを周りの人間が尊重してあげることが大切だと考えます。
たった10分程度の運動朝会でしたが、彼女にとって少しでも自信につながる経験になっていたなら嬉しいです。
ほぼほぼ谷村の自己満足の世界ですが。
残念ながら彼女はこの後、ポルトガル語でも日本語でもない国に引っ越しましたが、今の国でも楽しく生活していることを願います!
※運動朝会:始業前の10分程度の時間を使って、全校生徒で身体を動かします。この学校では月に1回程度行われていました。
〈運動朝会当日の様子〉