さとこ先生の海外子育てコラム4【はじめての子育てin異文化

異文化の世界x初めての子育て

2001年に長男(SK)が生まれたとき、私は20代半ばで若かったこともあり、子供を産むとか育てるということに、何の予備知識もありませんでした。

そもそも自分の体から人間が出てくるというのがSFレベルの未知の世界。人間の赤ん坊に乳を上げるという哺乳類的行為も自分の人生で一度も見たことがなく、初めて授乳を目撃したのは「自分」の授乳でした。

出産から7カ月ほどはイタリアに住んでいたのですが、現地の言葉はわからない、夫の家族とはコミュニケーション不可、医者と話をするにも夫の補助が必要、子供のことも全て初めての体験で、取り寄せた日本語の育児書を頼りに育児するという状態でした。

離乳食にも文化の違い

今思えば、子供を育てるという未知の体験を、自分の価値観とは違う異文化の世界でするわけですし、母親、というか人としての自分は随分混乱してたのではないかと思います。

たとえば、イタリアでは離乳食にパスタとオリーブオイルとパルメザンチーズをあげるというのには驚きました。

また、定期検診で母乳の質が変わるから豆類やキャベツ、カリフラワーなどを食べないように指導されたことは、

大豆文化で育った日本人の私にとっては衝撃を通り越して自分の文化を否定されたようで、本気で悩みました。

今なら医者には「ハイ、ワカリマシタ」と神妙な顔をしつつ、

こっそり味噌を舐めるだろうと思いますが、

その時は勝手に傷ついて、悲しい気分になったものでした。

食べ物の話などは序の口で、子供のしつけ、生活習慣一般、言語の選択に至るまで、

多文化の家庭では、どこに子育ての基軸を置くかで

親同士、親戚のなかで揉めることが多いと思います。

私たちの家庭も同様で、英語の育児本でなんとか中立を保ったところがあります。


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⑤へつづく…