さとこ先生の海外子育てコラム7【サードカルチャーキッズ】

前回は手のかからなかった長男の話でしたが、今回は4つの国で教育を受けた長女の話をしたいと思います。

TCKサードカルチャーキッズ

「Third culture kids(TCK)」ということばをご存知でしょうか。

TCKとは、自分の親の文化以外の異文化で育つ子供たちのことです。

出身国から別の国へ移住してずっとそこで暮らす移民家庭の子供たちというより、むしろ各地を転々として、出身地域の文化、今住んでいる地域の文化の両方に日常的に触れているような状態にある子供たちのことを指す言葉です。

わかりやすい例としては、世界の米軍基地で育った軍人家庭や企業の海外駐在社員家庭の子供たちがあげられるでしょう。

私が20年ほど前にバイリンガル子育てに関する本を探していたときに出会った本の題名が「Third Culture Kids」で、当時はとても新鮮な響きがあったことを覚えています。

異文化に暮らしているといっても、親が政府関係者や大企業の勤め人であれば大都市圏に住む場合が多く、インターナショナルスクールや政府が補助金を出している出身国の学校に子供を通わせるという選択肢があります(たとえば、インターナショナルスクール、フレンチスクール、全日制の日本語補習校など)。

経済力と環境があれば、子供は幼少期から一貫した言語教育を受けることが可能です。また、米軍などの場合は基地内に学校がありますので、子供はそこで本国式の教育を受けることができます。

 が、我が家の場合は住んだ先々で現地の公立校に子供を通わせました。というか、放り込みました。家庭では親と日本語とイタリア語、行く先では学校が別言語なので、サードカルチャーキッズの典型から少し外れた型かもしれません。

日本とイタリアのミックスの長女(19歳)は、

英語圏カナダ(8年間)

→ドイツ(約1年間)

→フランス(7年間)

→イタリア(高校最後の2年間)

と、4言語で学校教育を受けました。

  書いてみたら数行の話ですが、本人は相当苦労したと思います。これ、全て親の都合、親の勝手です。子供の意思など1ミリもありません。数年ごとに住む国を変えるのが楽しくてしょうがないという学齢期の子供がどこにいるでしょうか。

傍目から見たら「それってどうなの?!」「大変だね・・・」という学校生活を送ったわけですが、2022年になんとか無事高校教育を終え、カナダの大学に進学することができました。

8へ続く

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①私と私の家族

②どの言葉で育てるか

③なぜ継承語教育か

④はじめての子育てin異文化

⑤それぞれの言葉で話すという選択

⑥長男SKくんの場合 (完)