【娘の出会った日本語の世界】まき先生の海外子育てコラム7
漫画からぐんぐんと漢字力をつけていた中学生の息子が江戸時代にどっぷり浸かっている間、娘もある時代に興味を持つことで自分の日本や日本語の世界を広げていました。それは、こんなきっかけが始まりでした。
かるた遊びとの出合い
ある日、家の片付け中いろはカルタを見つけました。娘はカルタ遊びから、あっという間に諺を覚えてしまいました。
そして、タイ語にも同じ諺が存在する場合、わたしに分かり易く日本語の例えを入れて意味を教えてくれたのでした。当時、娘のカルタの挑戦相手は夫と息子。一番年下の自分が勝てる喜びに連日どちらかを誘い、正座までしたカルタ取りに挑んでいました。わたしは真剣にいろはカルタで遊ぶ娘を見ながら、ずっとしまい込んでいた百人一首カルタを思い出していました。百人一首カルタを紹介したのは、娘が小学校4年生の時でした。
初めて札を見た時、娘はひらがなが読めるのに札に書かれた日本語の意味が分からずイライラしていました。わたしも百人一首の魅力を上手く紹介できませんでした。
「ちはやふる」で深まる理解
でも、「内心これはチャンスかも?!」と思ったので、百人一首関連のアニメや漫画、映画等あるかを検索しました。すると当時流行していた競技カルタに青春をかける高校生たちの物語“ちはやふる“がヒットしました。“アニメちはやふる“で百人一首の競技カルタを理解した娘は、次に漫画から更に百人一首の成り立ちや歌の魅力を理解していきました。
日本から取り寄せた小学生向けの百人一首辞典が手に入ると、一首一首の解説を読み込み、和歌の詠まれた時代背景の知識を少しずつ深めていきました。百人一首の存在を知って欲しいと、日本とタイのダブルの友人の誕生日には、その子の名前の頭文字から始まる歌をタイ語に訳し送ったり。
読める漢字・わかる言い回しも増加
その後、娘にとって百人一首は札取りや競技ではなく、和歌に込められる美しい日本語と向き合う時間となりました。
この百人一首との出会いによって、娘も読めるようになった漢字が増えていきました。他にも ふりつつ、ぬれつつ、しぼりつつなど趣きあるその時代の言い回しも理解できるようになりました。「恋の仕方っていっぱいあるんだねぇ」などと大人びたため息をついたこともありました。
息子同様に娘の日本、日本語の世界も、「知って欲しい、伝えたい」から確実に広がっていったのでした。
まき先生の過去のエピソード
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① 親が始めた日本語指導から 子どもが自ら切り開く 日本、日本語の世界