さとこ先生の海外子育てコラム10【高校生でイタリアからフランスへの移住】

さて、Nが高校2年を終えるタイミングで、私たちはイタリアの夫の故郷の小さな町にUターン移住しました。Nはまたまた違う言語で学校に通うことになったわけです。イタリア語は言語的にはフランス語にもよく似ていますし、日常会話くらいは理解できるレベルでしたが、高校の授業はさすがに大変だったようです。しかもイタリアはだいたいのテストは口頭試験なのです!!もちろん高校過程終了の試験もです。

日本では、フランスのバカロレア(高校卒業試験)がどれだけ学生の考える力を試していてスゴいか、という記事を見かけたりしますが、長男のバカロレアの勉強よりもこっちのほうがよほど大変だったと思います。

 高校の途中で外国の学校に転向という、どう考えてもネガティブ要素のほうが強そうな転換だったのですが、小さなクラスで目が行き届き先生が熱心に指導してくださったこと、友達ができたことで、本人としては大満足の結果で卒業できました。

 フランスの公立高校は一学年10クラスくらいのマンモス校で、先生に目をかけてもらうなど到底期待できるような環境ではありませんでした。もともと目立つのが嫌いなので、ある意味「埋もれていた」感があったのだと思います。実際、成績も中くらい。可もなく不可もなく、だらだらと高校に通っている感覚があったようです。イタリアの田舎ではクラスも小さく、先生も良い意味でも悪い意味でも個人的な関係性があったことと、イタリア人的な陽気な気質も合ったのかもしれません。

 勉強の面で母親の私のできることはこの時点では皆無。ただただ、ご飯を作るだけ・・・という2年間でした。19歳の卒業の時点で、日本語は日常会話はOKのレベルに止まってしまいましたが、伸びしろはまだまだあるので、これからどうなるかはわかりません。

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↓長男SKくんのケース

①私と私の家族

②どの言葉で育てるか

③なぜ継承語教育か

④はじめての子育てin異文化

⑤それぞれの言葉で話すという選択

⑥長男SKくんの場合 (完)

↓長女Nさんのケース

⑦サードカルチャーキッズ

⑧日本語は問題ないけど…

⑨ドイツ語、フランス語、英語、そして日本語