さとこ先生の海外子育てコラム11【長女Nさんのアイデンティティーについて】


▼自分は何者?

ここまでいろいろな国を転々とすると、アイデンディディはどうなるのでしょうか。娘にも聞いてみたことがあります。「あんた、自分は何者だと思う?」と。答えは、「英語もフランス語もイタリア語も全部中途半端だし、どこにいてもそこの一部じゃないような感じ・・・」とのことでした。これはサードカルチャーキッズによくあるアイデンティティの捉え方らしいです。

▼イタリアorフランス?

 イタリアの小さな町では、傍目から見たらアジア人の彼女はマジョリティには属さない人間です。もちろん友達は個人対個人なので、肌の色などは関係ありません。が、上から下まで全部イタリア人ではない気がする。フランスにいても、自分はフランス国籍はないし、「フランス的な文化」も特に共有はしていない。なんとなくみんなと違う気分。

▼多文化主義のカナダでは?

 では、多文化主義のカナダではどうなのでしょう?Nはカナダ国籍はあるのですが、カナダ(北アメリカ)の文化と自分を同一化できない。もちろん、見かけはアジア人に近いのですが、中身はアジア的とはまったく言えないし、むしろアジアの文化からは遠い気がする(理解はできるけど自分は違う)。本人は今のところ、「どうも私は文化的にはヨーロッパ人のような気がする」という結論に達しています。

 カナダの大学生活ですが、学生には意外にもかなり出身国や出身文化での棲み分けがあるらしく、彼女はやっぱりここでもどこにも属さない、「インターナショナル」なカテゴリーに入っているのでした。留学生の中でも各国のインターナショナルスクール育ち、駐在家庭などの「サードカルチャーキッズ」系です。どこにも属さない系、ともいえるかもしれません。

[12]へつづく…

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↓長男SKくんのケース

①私と私の家族

②どの言葉で育てるか

③なぜ継承語教育か

④はじめての子育てin異文化

⑤それぞれの言葉で話すという選択

⑥長男SKくんの場合 (完)

↓長女Nさんのケース

⑦サードカルチャーキッズ

⑧日本語は問題ないけど…

⑨ドイツ語、フランス語、英語、そして日本語

⑩ 高校生でイタリアからフランスへ